お盆休みも終わり、8月も後半です。「善竹十番」公演も、あと10日ほどに迫って参りました。

8月最後の29日(土)〜31日(月)にかけて、神戸市灘区民ホールにて狂言8番を連続公演致します。夏休みの最後を狂言で締めくくってみませんか? 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。

さて、今回のテーマは「オモテの事情」と題しており、狂言面が登場する曲ばかりです。

狂言と兄弟関係にある能は、「仮面の芸能」と呼ばれるほどに、多くの演目で能面を使用します。能面を使わない演目ですら、「直面(ひためん)」といって、面をかけている心持ちで演じるほどです。

対して狂言はというと、能に比べると使う率は低いですが、決して面を使う演目が少ないわけではありません。

今回の「善竹十番」で使用される面を性格別に分けてみると

正体を隠す : 《清水》の太郎冠者、《仏師》のスッパ

女性の役 : 《二九十八》の女

動物の役 : 《蟹山伏》のカニ、《靭猿》のサル、《止動方角》の馬、《蚊相撲》の蚊

鬼の役 : 《神鳴》の雷神

仮面の本来の効用は、自分でない者へ変身することです。

そういう意味では装束も同じなのですが、特に顔は、人のパーソナリティのとても大きな部分となっています。姿はそのままでも、顔さえ変えれば、別の者になることができるのです。それを舞台上でやってしまうのが、《清水》の太郎冠者、《仏師》のスッパです。

次の女性の役については、元々能や狂言は、基本的に男性が演じるものとして伝承・発展してきたものです。だからこそ、男性はそのままでは女性の役は演じられません。能では女性の役は例外なく、面をかけて演じます。しかし、狂言の場合は、ビナンカズラという布を頭に巻いて、顔の線を隠すことで女性の役を演じます。だから、狂言の場合は女性の役だからといって、必ずしも面が必要ではない。でも、あえて面を使うのは…これは是非とも実際の舞台をご覧下さい。

次の動物の役。これで面白いのは、サルの役を除いて、その動物専用の面というのがあまりないことです。「賢徳」の面など、動物の顔とは似ても似つかないのですが、舞台上ではさまになってしまう不思議な面です。何の動物でもないからこそ、カニでも馬でも使えてしまう逆転の発想ですね。

最後の《神鳴》の面は、これはいかにも鬼面です。ただし、怖そうでありながら、同時に愛嬌のある面です。このあたりに、狂言の鬼についての考え方が感じられるような気がしないでしょうか。

善竹十番公演サイト https://zenchiku.xyz/

志芸の会公式サイト http://www.shigenokai.com/