毎日1曲ずつ増やしております「演者自身による演目解説」第4段。今日からは2日目の演目です。《二九十八(にくじゅうはち)》、執筆は男役の小林維毅です。

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この作品は、女狂言という分類の妻定め物、に当たります。現代風に言えば、婚活のおはなし。

まず男(シテ)が登場し、自分は未婚なので京都は清水の観世音菩薩に、良い妻をさずけて下さるように今から行く!と、お参りに出かけます。清水に到着した男は通夜祈りをすることにしました。ウトウトとまどろんでいると「西門の一の階(きざはし)に立ったを汝が妻と定めい」とのお告げが。

喜んだ男はさっそく西門に向かいます。すると本当に被衣(かずき)を被った女(アド)が立っているではありませんか!

男は恥ずかしい気持ちを押し切って女性に「お妻さまですか?」と素っ頓狂に尋ねます。

すると女は「夫(つま)もなき 我が身ひとつの更衣に 袖をかたしく 独り寝ぞする」と、和歌で返答してきました。

間違いない!お告げで聞いた妻じゃないか!迎えに行くから角から何軒目の家かと男が尋ねると「我が宿は 春の日ならの町の内 風の当たらぬ里と尋ねよ」とまた和歌の返答が。和歌のナゾナゾです。

春の日ならの町=春日町。その中の、風の当たらぬ=室のこと?…おお!春日町の室町か!でも室町の角から何軒目かが分からないので、訪ねてみると「二九!」とだけ言い残し、女は消えてしまいました。またナゾナゾです。

男は、女が九九で返答したから2×9=18軒目の家だと推理。そして推理どおりの場所でさきほどの被衣を被った女を見つけます。

和歌もできるし、算数にも長けている。被衣の下にはきっと美しい女性が…。

いつの時代も男は自分に都合のよい、はかない夢を抱くものです。現実はいったい…。(小林維毅)

上演日:8月30日(日)「善竹十番」公演2日目

二九十八

善竹十番公演サイト https://zenchiku.xyz/

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